CLASSROOM GUIDE 教室案内
研究案内
麻酔・蘇生学講座
1. 研究・教育スタッフ
坂口嘉郎(教授)、平川奈緒美(准教授)、瀨戸口秀一(准教授)、ほか
2. 研究テーマ
-麻酔科蘇生科-
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痛みの伝達、治療に関する基礎研究
麻酔・蘇生学教室では、動物を用いて自律神経および感覚神経に神経トレーサーを注入することにより、内臓の求心性感覚神経の起始の決定や、神経ペプチドを用いて免疫組織化学研究を行い、内臓痛における自律神経、感覚神経の関与に関して神経解剖学的研究を行っている。臨床の場においては、難治性慢性疼痛に対する新しい治療法として、大槽内薬物注入、三叉神経槽内グリセリン注入、胸腔鏡下胸部交感神経切除術、脊髄刺激電極埋込みなどを行い、良好な成果をおさめている。これらの臨床的に利用している治療法の基礎として動物での神経解剖学的研究を行っている。
また、疼痛制御機構としての下行性疼痛抑制系に関する研究として、ラットを用いて、これらのシステム内の中脳水道灰白質や延髄腹内側領域に各種薬物(オピオイドなど)を投与したときの鎮痛作用に関して行動生理学的研究(熱刺激を与えたときの尾逃避反射など)を行っている。さらに痛みには性差や情動が関与していることに注目して、慢性痛モデルを作成して、行動生理学的研究および神経解剖学的研究を組み合わせて、下行性疼痛抑制系と情動に関するドパミン作動神経系(脳内報酬系)との関係についての研究を行っている。
これらの研究では、中枢神経および末梢神経の解剖、神経解剖学的研究手法(神経組織化学、神経トレーサー法、免疫組織化学法)が習得できる。さらに行動生理学に必要な尾逃避反射やホルマリンテスト、条件づけ学習などの研究法、動物での定位脳手術などの手法を習得することができる。
また、脊髄における疼痛伝達機構に関する電気生理学的研究を、生体構造機能学講座とともに行っており、in vitroおよびin vivo patch clamp法などの手法を学ぶことができる。 -
複合性局所疼痛症候群(CRPS)の臨床的・基礎的研究
疼痛疾患の中でも非常に難治性であるCRPSに関して、国内の多施設共同での研究を行っており、当教室はその共同研究施設として、診断・治療に関しての研究を行っている。また、発症機序に関する基礎的研究を行っている。 - 難治性疼痛の治療のひとつとして脊髄刺激療法が臨床では有効である。しかしながら、この鎮痛機序に関しては、また不明な点も多い。当教室では、ラットの神経障害性疼痛モデルを作成し、独自に作成した電極を植え込み、電極刺激を行うことにより、行動生理学的変化、免疫組織的変化を調べることにより、脊髄刺激療法の鎮痛機序の解明を行っている。
- 鏡視下食道切除術における腹臥位・気胸時の呼吸メカニクスの変化に関する検討
- 血液粘弾性検査を用いた心臓血管外科手術における早期出血状態の診断・輸血必要量算定ツールの作成
- 大量出血症例におけるクリオプレシピテートと乏クリオの使用実績調査
- カテーテルアブレーションにおける術後嘔気嘔吐(PONV)の危険因子の検討
- 口腔外科手術における術後嘔気嘔吐(PONV)の危険因子の検討
-集中治療部-
- 腹腔内感染性DICに対する遺伝子組み換えトロンボモジュリンαの用量に関する検討
- 腹腔内感染性DICに対する遺伝子組み換えアンチトロンヒ゛ン製剤の有効性の検討
- 患者情報システムを用いた集中治療部の機能評価(JIPAD事業)
- 多施設における自動算出早期警告スコアの評価 RRSシステムでの活用
3. お問い合わせ・連絡先
坂口教授:yoshiro@cc.saga-u.ac.jp
TEL直通:0952-34-2324(内線 2324)
部屋番号:2258
ペインクリニック・緩和ケア科
1. 研究・教育スタッフ
平川 奈緒美(診療教授)ほか
2. 研究テーマ
- がんの痛みやその他の苦痛症状などの身体的問題に関する研究
- がんによる不安・怒り・うつ状態などの精神的問題に関する研究
- がん罹患や再発・転移が引き起こす心理社会的問題に関する研究
- 生きがいや人生の意味などのスピリチュアルな問題に関する研究
- ホスピス・緩和ケアをめぐる倫理的問題に関する研究
3. 習得可能な知識・技術
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知識・能力
がん患者および家族の抱える諸問題に対して、身体的・精神的・心理社会的・倫理的そしてスピリチュアルな側面から多角的に評価・分析できる -
技術
「WHOがん疼痛治療法」をはじめとした世界標準の緩和ケアの技能を習得できる
4. 指導方針・目標
- 個人の問題意識を尊重し、柔軟性のある指導を取り入れている
- 緩和ケア専門医を目指すことも可能である
5. 問い合わせ・連絡先
ペインクリニック・緩和ケア:平川 奈緒美
TEL:0952-34-2324(事務室)
基礎研究
1. 敗血症におけるIL-27の産生細胞の同定とその機能的役割の解明
Interleulin-27 (IL-27) は、炎症促進作用と炎症抑制作用の相反する2つの作用を有するサイトカインである。
また、敗血症の病態は未だ完全には解明されておらず、有効な治療法が確立されていない。
本研究では、敗血症モデルマウスを用いて、敗血症におけるIL-27の産生細胞を同定し、その作用が敗血症の病態にどのような影響を及ぼすのかを解明することを目的とする。
これにより、敗血症の病態の理解が深まるとともに、新たな治療法の確立に繋がる可能性がある。