PRACTICE GUIDE 診療案内

手術部

手術部とは

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手術部は14部屋の手術室で運営しています。手術のうち約1割は緊急手術で、地域医療機関からの転送や当院救急部受け入れ直後などの急を要する症例も少なくなく、佐賀医療圏の“最後の砦”としての役割を果たしています。

医学や医療の進歩に伴い、以前では手術の適応とならなかった病気や、重い持病のため手術不可能とされていた患者さんでも安全に手術を行えるようになってきました。手術支援ロボットなどを用いた内視鏡手術や、透視装置を備えたハイブリッド手術室での血管内治療(※)など、これまでの方法よりも患者さんへの負担が少ない形で治療を行うことが可能となっています。
このような先進医療を安全に行うには、特殊な器械や手術室、専門知識を持った医療スタッフが必要で、当院手術部でも外科医・麻酔科医・看護師・臨床工学技士・放射線技師・検査技師など多職種でチームを作り患者さんの安全やのスムーズな手術をサポートしています。

手術部スタッフはこれらの限りある手術室・手術器材・マンパワーを適切に配置することで、安全かつ円滑な手術進行を実現しています。患者さんが一日でも早く「日常生活」を取り戻すために全力を尽くしています。

  • ※血管内治療:血管の中にカテーテルと呼ばれる管を通して、不整脈や動脈瘤の治療を行ったり心臓の弁を取り替えたりする手術。

  • ハイブリッド手術室 ハイブリッド手術室

手術を検討されている方へ

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手術を検討されるときにぜひお読みください。
なお、実際の麻酔に関しては、手術前に麻酔科医師からご説明致します。

手術は疾病の治療を目的として行われる「治療行為」ですが、、痛み・恐怖・出血・有害な反射・感染・炎症などの「体への侵襲(害)」も伴います。麻酔は、その手術侵襲から患者さんを護るために痛みと不安を緩和し、筋肉の緊張をとって手術が円滑に行える状態にするとともに、手術によって生じる様々な反応を調節します。手術が治療効果を発揮しつつ生命の安全を維持するために必要不可欠なものです。

  • 手術に臨む麻酔科医の仕事

    麻酔って眠らせることですか?

    安全な手術のために、麻酔は欠かせない医療行為です。
    痛みや恐怖から患者さんを守るために「鎮痛(痛みをとること)」「鎮静(意識を取ること)」は重要な麻酔の要素です。しかしながらそれだけでは麻酔のすべてを表してはいません。麻酔とは、手術が行われている間あなたの体が手術に最もよく耐えられるようにあなたの体の状態を保つことです。

    麻酔科医ってどんな人?

    麻酔科医は、あなたの体の状態や受ける手術の内容などから判断して最適と考えられる麻酔法を決定します。手術中は、あなたの体の状態に気を配りながら、手術が安全かつスム-ズに進行し終了するよう絶えず監視しています。そして麻酔科医は、あなたの体を手術中最適な状態にしておくためにあらゆる医学的知識を総動員させて、さまざまな医療処置を行います。あなたの生命に直接関わる機能、たとえば呼吸、心拍数、血圧をコントロールしたり、それらが大きく変動することがあらかじめわかっている場合には、その変動を抑制するような処置も行います。
    このように、麻酔科医はあなたが手術中や手術後の回復の段階で、生じるであろうさまざまな医学的問題を即座に診断し、適切な処置を行える専門医なのです。

    麻酔科医が活躍する場所は、手術室内だけではなくその外にまで広がっています。たとえば・・・・・

    一般病棟では治療・看護が困難な、危機的状況に直面している患者さんを対象として、安定した状態に回復させるのを助けるために集中治療室(ICU)でも働いています。
    出産に際しては、麻酔科医は二人の人間を管理しています。つまり母親と、赤ちゃんという二人の生命機能を管理しながら、母親の痛みを和らげています。
    麻酔科医は、ペインクリニックや緩和ケアにおいて痛みの治療にも携わっています。それは単に痛みを和らげるだけでなく、急性痛から慢性痛にいたるまでその診断の段階から関わっているのです。

    麻酔科医による術前診察が重要です!

    麻酔と手術は、あなたの全身の状態に大きな影響を与えます。ですから、担当麻酔科医ができるだけ詳しくあなたの状態を知ることは重要なことです。
    術前診察の際に、麻酔科医は注意深くあなたの現在の状態や過去の病歴などを医学的に評価します。また最近の飲み薬の詳細や、別の医療機関で受けた治療などについてもお尋ねします。サプリメントや健康食品の中にも麻酔法の選択に影響があるものがあります。飲酒・喫煙など生活の様子も含めてお話しください。
    そのうえで麻酔科医は、あなたが受ける手術に関連したさまざまな処置について説明し、どのような麻酔法を選択するのかをそれぞれの利点と欠点の説明を交えて相談し、オーダーメイドの最適な手術前・手術中・手術後(まとめて周術期といいます)の管理方法を立案します。必要に応じて追加の検査や投薬の指示を行うこともあります。

    麻酔にはいろいろな種類があるのですか?

    麻酔法には大きく分けて2つの種類があります。全身麻酔と局所麻酔です。

    全身麻酔では、あなたの意識はなくなります。眠っている間に手術が始まり、眠っている間に終わります。
    マスクを口と鼻にかぶせて深呼吸をしているうちに眠ってしまう吸入麻酔と、静脈に注射をして麻酔を行う静脈麻酔の2種類の全身麻酔法があります。
    全身麻酔では眠った直後から、口や鼻から挿入された管を通じた人工呼吸により呼吸の維持・管理が行われます。

    局所麻酔では、手術を行うのに必要な部分だけが痛みを感じなくするようにそれに関係する神経が集まっているところに麻酔のための薬を注入します。この麻酔単独では意識に影響はありませんが、場合によっては気持ちが落ち着くような薬が使われることもあります。
    局所麻酔法には、脊椎くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔、局所麻酔などがあります。このうち麻酔科医が直接行う局所麻酔法は、脊椎くも膜下麻酔と硬膜外麻酔です。近年は超音波装置で体の中を見ながら伝達麻酔を行う頻度も増えてきました。小規模な手術の場合は、手術する部位の皮膚や組織に局所麻酔薬を注入するだけで手術が可能なこともあります。
    麻酔科医は、あなたの希望にも可能な限り添えるように考慮ながら、あなたに最も適した麻酔法について手術を担当する外科医ともよく相談します。 これら麻酔法の選択は、麻酔科医による術前診察の情報をもとに行います。

    手術中に麻酔科医は何をしているのですか?

    麻酔科医は、周術期を通してあなたの状態を最適に保つためのあらゆる医療行為を責任を持って行っています。あなたが手術室内にいる間中、麻酔科医はあなたの麻酔薬の投与と同時に心拍数、血圧、心拍のリズム、体温、呼吸などの生体機能を管理しています。麻酔科医は、必要に応じて輸液や輸血も行います。麻酔科医は一時も離れず、あなたの全身の状態を最適に維持できるように働いています。

    手術を受ける人はしばしば他にも何らかの治療が必要な疾患を合併しています。たとえば、糖尿病、喘息、高血圧や不整脈等の心疾患などです。術前の評価により、麻酔科医はその併存疾患に伴う変化に注意を払い、周術期全般にわたり管理します。

    手術中、継続的に医学的管理を行うことはあなたが早く回復するのに必要なことです。麻酔科医は医師として手術そのものに関連した突発的な問題への対処だけではなく、あなたが持っている慢性的な疾患や症状についても手術中に適切な対応が取れるように修練しています。

    手術後はすぐに病室に戻るのですか?

    麻酔担当医は、リカバリールーム(回復室)でのあなたのケアにも責任があります。そこでは、あなたの全身状態や、バイタルサインをモニターして麻酔の影響による不安定な状況がなくなったかどうかを確認します。その結果を元に病室に移動しても安全かどうかを判断します。

    だれでも手術や麻酔を受けるときは不安を感じます。もしあなたがよく説明を受け、どんなことが起こり得るかを知っていれば、より多くの準備ができますし、リラックスできます。麻酔科医とよく話をしてください。質問もしてください。あなたが受ける麻酔についてあなたが持っているどんな小さなことでもよく話し合ってください。

    麻酔科医は、あなたの擁護者としてそして周術期管理の専門医として、あなたの手術とその後の回復過程をできる限り安全にかつ快適に経過するように見守りつづけています。

    お願いしたいこと

    麻酔科医は、あなたの満足度と安全ができる限り高く維持できるように手術中の医療行為を責任を持って行いますので、手術の前に麻酔科医と話し合っておくことが大事です。その結果、一時的に中止しなければならないお薬・サプリメントのことや、喫煙中の方には禁煙をお願いすることがあります。こういった指示には必ず従ってください。入院直後に指示が守られていないことが発覚した場合に、手術が延期されることがあります。自身の健康に深くかかわることになりますのでご注意ください。

    それだけではありません。本院の基幹病院としての機能を果たすために、限られた手術室やマンパワー(人手)をフル活用して、すべての患者さんに安全で高度な手術を受けて頂くためには効率よく手術室を運営する必要があります。予定していた手術が直前に中止されることで、そのあと手術を待って待機している人たちにも影響が生じます。人や物が不足しているために、手術が手遅れになるというような事態は何とも避けねばなりません。ご自身(ご家族)の病気や健康状態、飲んでいる薬などについて日ごろからよく理解して、手術の際には医療スタッフに正確にお伝え下さい。それは手術の際のトラブルを防いで不必要な追加治療を行わずにすむための第一歩となります。また、ご自身の生命を守るだけでなく、他の患者さんにも必要な治療を早く安心して受けて頂くことにもつながっていきます。地域のすべての患者さんの健康を維持するために、皆様のご協力をぜひともよろしくお願いいたします。

    禁煙のすすめ

    タバコを吸っていると、手術の際の合併症が増えることは明らかになっています。手術を受けることが決まったら速やかに禁煙してください。手術を機会に禁煙することで、手術の治療効果を損なわないだけでなく、その後の人生において喫煙によっておこる病気の抑制にもつながります。
    喫煙継続により、脳卒中・心筋梗塞・心不全・肺炎などの危険性が上昇します。また傷の治りも遅くなり、感染する可能性も高まります。合併症の発生により長引いた入院期間は、特に高齢者で身体機能を低下させ、元の生活に戻る可能性を減らすことになります。術後の痛みの程度にも悪影響があり、さらにはがんの術後再発率も増加させるためできるだけ早くから禁煙した方が良いといわれています。受動喫煙も喫煙と同様の悪影響があるので、家族の禁煙も必要です。ちなみに、本数を減らしたり、新型煙草に変えても禁煙のような効果はありません。
    禁煙外来への紹介も可能です。詳しくは主治医あるいは術前診察を行う麻酔科医にお尋ねください。

  • お子さまに麻酔が必要になったとき

    お子さまが病気の時の時、病院へ行くと言うことは、あなたにとってもお子さま自身にとっても不安がありますね。あなた方の経験をポジティブなものにしようと最善を尽くしているたくさんの医師や、看護婦やほかのスタッフをごらんになると思います。小児科医や、小児外科医のように小児医療の専門の医師がいるのと同じように、小児の麻酔のための特別な修練を積んだ麻酔医もいるのです。

    子供の手術や治療にあたって麻酔科医は何をするのですか?

    主な役割は、手術中に安全で最適な状態を作り維持することと、病院の入院期間全般をできる限り快適なものにすることです。
    麻酔科医はどんな手術でも、手術中に起こる可能性のある呼吸、心機能、血圧の変動や、かりにそれがめったに起こりえないことであったとしても、常に防衛できる体制をとっています。あなたのお子さまの手術の最適な安全性を確実にしつつ、その手術操作が可能な限り最適なものになるように様々な修練を受けています。 手術のあとも、麻酔科医はお子さまの痛みを和らげる治療に関与します。また、小児の集中治療室でも治療を行ったり、主治医からの相談に応じたりして関わります。

    手術を受けない場合でも、ほかの治療に付随して必要となる痛みの治療や、呼吸管理に関与することで、麻酔科医はあなたのお子さまの治療に深く携わっています。
    病院の手術室以外の場所でもあなた方は麻酔科医と会うことがあるでしょう。
    麻酔科医は子供たちが病院や手術というものに対してどのように反応するかをよく知っています。麻酔科医は医師として小児科医や外科医、あるいはほかの専門医と一緒に働き、あなたのお子さまの入院生活の質を向上させようと日々努力をしています。たとえば、お子さまが診断目的の特殊な放射線検査などを受ける必要が生じたとき、お子さまの安全と安心のために麻酔を行います。

    親としてどんな手伝いができますか?

    麻酔医と手術担当医はあなたのお子さんの病院受診や入院を可能な限り快適なものにしようと最大限の努力をしています。しかし、お子さまの治療にはあなたの役割はとても大切な鍵となるのです。
    お子さまが手術を受けることが決まったら、できるだけ早くあなたがお子さまの手術の準備を始めることが大切です。子供たちはその準備ができていればいるほど、手術や麻酔にちゃんと耐えることができます。

    私たちみんながそうであるように、子供たちも未知のものに対して生まれつき恐怖心を持っています。
    子供たちの不安を取り除くためにできることは何でもやってあげましょう。また病院や手術室で行われることについてよく説明してあげましょう。あなたのお子さまにこれからどんなことが起こるのかを説明する前に、これからどんなことが起こるのかについてあなた自身が学ばなければいけません。

    手術前に麻酔科医によって行われる術前訪問であなたのお子さまの麻酔についてあらかじめ学んでおくことはとても大切なことです。
    親としてあなたがまず落ち着くことが肝心です。自信たっぷりの親の態度に勝る子供を落ち着かせる手段はありません。もちろん子供が手術を受けるときに親が不安になるのは当然のことですが、それが子供に伝わらないようにするのがベストです。
    病院でどんなことが起こるのか、病院はどうなっているかなど、色々説明してあげてください。たとえば、病室のこと、廊下のこと、ほかにも子供たちが入院していることなど、何でもです。
    入院中に行われる全てのことについてあらかじめ説明を済ませておくことで、お子さまを安心させてください。

    お子さまにはまず、これまで見たこともない環境に行かなければならないことを説明しなければなりません。でもそこにはよく知っている仲良しの先生や看護婦さんたちが待っているということも説明しなければなりません。子供たちはこれから手術を受けるということと、術後にいくらか不快なこともあるというのを分かっていなければいけません。
    それからお子さまに、あなたは一緒にその部屋に行くことができないけれども、すぐそばで待っているということを話してください。

    麻酔科医にお知らせいただきたい点

    麻酔科医はあなたのお子さまが手術前に可能な限り最上の身体状況であることを確認したいと思っています。
    あなたはいくつかのとても重要な質問を受けるはずです。それらはたとえばアレルギーや喘息があるかどうかというお子さまの普段の健康状況に関する質問、ご家族の中で以前に手術を受けたことのある方に、その麻酔を行うにあたり何か問題となることはなかったかどうかという質問、さらにお子さま自身がすでに麻酔の経験があれば、その麻酔の状況についての質問などです。
    これらの質問をしながら麻酔科医はお子さまの身体状況を評価していきます。
    そのうえで麻酔科医は、お子さまに対してどのような麻酔法を適応しようとしているかについて説明します。どのようにして麻酔を始め、その後どのようにその状態を保っていくのかについて説明します。

    また、手術の前にお子さまの気持ちを落ち着かせる処置をするかどうかについてもご相談いたします。
    他にも麻酔に関して詳しく知っておいていただきたいことがあればその都度適切に説明いたします。
    鼻づまりなどをはじめとする風邪症状のような軽い病気が、お受けになる手術や麻酔の種類によっては問題となる場合があります。このような理由から、麻酔科医が手術日を延期した方がよいと判断する場合もあります。

    麻酔科医は常にあなたのお子さまの安全に配慮しているのです。

    手術の前に飲んでおく薬などがありますか?

    以前は、手術を受ける子供は事実上全員、手術室に入室する前に鎮静薬と呼ばれる薬の投与を受けていました。
    最近では子供が落ち着いていて、入院や入院、手術中の処置に関するストレスを和らげるためのご両親の確実で自信に満ちた手助けが行われている場合には、鎮静が必要でない場合もあります。
    しかしご両親のそのような努力にも関わらず、手術前に鎮静のための投薬が必要なお子さまが何人かおられます。
    この場合は、できるだけ口から飲む薬を使うようにしています。場合によっては注射や坐薬を使う場合もあります。それらは前投薬と呼ばれています。前投薬の時間は状況に応じて変わりますので、麻酔科医の指示に従ってください。
    どのような薬を使用するかについては、麻酔科医が術前診察の際に決めてお知らせいたします。

    私の子供にはどうやって麻酔をかけるのですか?

    麻酔がかかっていない状況から麻酔がかかった状態に移行させる(麻酔導入)にはいくつかの方法があります。
    大人の場合にもっとも一般的な方法は、静脈に麻酔薬を注入することでそれがはじまります。その場合には、急速に意識がなくなります。この方法は子供の麻酔導入にも使うことが可能です。
    子供の麻酔導入には別の方法もあります。意識がなくなるまで口や鼻に当てたマスクから麻酔薬を吸入する方法です。この方法では、麻酔科医は「マスクを口に近づけるよ。ゆっくり息をしてね。」などといって麻酔薬の吸入を促します。点滴や注射など、体に針を刺したりする行為はすべてお子さまがしっかりと眠ってしまってから行われます。
    どちらの導入方法であなたのお子さまの麻酔を始めるかについては、様々な要因を考慮して麻酔科医が決めます。

    麻酔薬は手術が行われている間中、完全に痛みを抑え、意識をなくしておくことが可能ですが、稀に副作用も生じます。麻酔薬は呼吸や心機能の抑制、血圧を低下させる傾向があります。麻酔科医はこれらの麻酔薬による影響を最小限にするするための様々な方法を修得しています。
    手術が終わって麻酔から覚醒する状況はお子さまによって千差万別です。リカバリールーム(回復室)に移ってきたときには完全に目が覚めている子供もいます。手術後数時間はふらふらしたり、ぼーっとしている子供もいます。
    手術後の覚醒などについて心配な点があれば、いつでも麻酔科医にお尋ねください。
    現在、手術の安全性はとても向上しているのですが、体にストレスを与えていることは事実です。多くの子供は気分が悪いと感じるでしょう。手術や麻酔による副作用として、術後に吐き気を感じたり実際に吐いてしまうことは比較的多く見られます。

    全身麻酔以外の麻酔法はできますか?

    全身麻酔によって意識をなくしてしまうのではなく、体のある一定の部分だけの痛みをとることが可能です。
    たとえば足の手術を受けるとき、足の痛みの感覚だけを消失させることができます。痛みを抑制させたい局所に麻酔薬を注入したり、区域麻酔と呼ばれる麻酔法により一時的にこのような状態にすることができます。
    区域麻酔にはいくつかのタイプがありますが、子供に用いられるもっとも一般的なタイプは神経ブロックと呼ばれる麻酔法です。これは痛みを脳に伝達する神経のそばに局所麻酔薬を注入する方法です。超音波診断装置(エコー)を用いる方法が一般的で、狙ったところに薬剤を注入することが容易になっています。

    区域麻酔を用いるその他の利点として、全身麻酔薬の使用総量を減らしたりすることと、それが術後の痛みを軽くすることがあげられます。その利点と欠点については、麻酔科医からよくお話をお聞きになってください。

    手術のあとの痛みは抑えられますか?

    麻酔科医は、あなたのお子さまの手術後の痛みのコントロールに強く関わっています。
    いわゆる鎮痛薬には、注射薬・座薬・飲み薬などの種類があり、お子様の状態に合わせて安全に配慮しつつ充分な量を使用していきます。

    別の方法としては、区域麻酔の一種で硬膜外カテーテルという細い管をお子さまの背中から挿入し、それを通して痛みを抑える薬を少量注入する方法もあります。挿入する際に協力が必要なので、ある程度の年齢以上のお子様が対象になります。他の術後鎮痛手段に比べてお子さまの意識はしっかりと保たれますし、副作用が少ないのが特徴です。硬膜外注入による術後鎮痛は術後数日間にわたって行われることもあります。